15号連載「ベテラン相談員のひとりごと」
先日発刊したホームあしすと通巻15号に連載しているベテラン相談員のひとりごとですが、
紙面の都合でいつも全文を載せきれていません。
そこで今回より、ホームページで掲載をしようと思い立ちました。以下はその原稿です。
読みづらいかもしれませんが、ご興味のある方はお読みいただけると幸いです。
東日本大震災が起きて3ヶ月以上経ちました。私もたまたま相談室にひとりでおり、
ついに関東大震災が来たのかと身構えたことをまざまざと思い出します。
その後の被災地の惨状や福島の原発事故と、この数ヶ月はいろいろなことが有りました。
震災後に起きたご入居のご相談が有りましたのでそのあたりのことを中心に
今回はお話しを進めて行きたいと思います。
まずお話しするのは被災地よりお父様をお子様が住んでいる東京へお連れするご相談です。
今回の大震災の津波でご実家が流失してお母様を亡くされたご家族が、
たまたまご入院されていて一命を取り留めたお父様をこちらへお連れして、
どこか良い施設をとご相談いただいたのは震災から2週間を過ぎた頃でした。
お母様をご葬儀を済まされて、すぐに東京にお戻りになり、お父様の住むところを
探さなくては、とのことでしたが、ご実家が流されてしまい、介護保険の被保険者証や
健康保険証、はたまた預金通帳など生活に必要な書類すべても流失してしまい、
一緒にご生活していたお母様が居なくなった為に、お父様はどの位預金が有るか、
年金はいくら貰っているのかなど、まったく判らない状況でした。
ひとつひとつ問題を解決しなければとご家族様と相談し、健康保険証はご入院されていた
病院に問合せ、介護保険証はたまたま流失しなかった担当ケアマネージャー様の事業所に
コピーが有りました。
一番困ったのは被災した自治体がまだ機能しておらず戸籍謄本が取得できないため、
ご家族とお父様の関係を証明する事が出来ずに銀行で預金を下ろせないことでした。
これはどうすることもできず、ご入居金の支払いに関して便宜を図っていただく施設を
ご紹介することができ、何とかなりました。
その次はお父様をどうやって東京にお連れするかが問題でした。
そこも施設の方が特別にお迎えに行ってくださるとの事で、被災地まで6時間以上かけて
お迎えに行ってくださいました。ご相談いただいて10日後には某有料老人ホームで
ご生活を開始する事ができました。ご紹介した施設の方にも最大限に便宜を図って
いただくことができて本当に感謝しています。
大震災の後、何人もひとり住まいのご本人様よりのご相談をいただきました。
地震やその後の計画停電で怖かったので、どこか良いところを紹介して欲しいと短絡的に
ご相談いただいた方が結構多かったです。お子様などご家族がまったく居ないわけではなく、
ご家族には迷惑をかけたくないと、ご家族へお話しをせずにご相談をいただいた方が殆どでした。
私どもはご相談いただいた方には一度冷静になっていただき、ご家族と一度お話をされることを
お勧めしました。
いくら世話をかけたくないとご本人が云われても、お父様やお母様が施設に入ることを
まったく知らせない訳にはいかないし、施設探しからご入居までには相当な体力も必要です。
ご高齢のご本人がおひとりで見学へ行くこともままなりません。
ご家族のサポートはどうしても必要です。
一度ご家族で話し合っていただき、改めてご相談くださいということで
いったんお話しを戻すと、殆どの方から再度のご連絡は有りませんでした。
数人の方から改めてご連絡をいただき、ご家族様と共にお母様やお父様の為の施設を
お探しした方もいらっしゃいます。
先日ご案内した方も最初は支援1のご本人からのご相談でしたが、その後お近くに住む
お嬢様とご一緒にお話を伺うことが出来、ご本人様と共に3ヶ所ほどご見学いただき
ご入居を決められました。
ご高齢になるとなかなかお一人ですべて動くことが困難です。
頼るところは頼って施設探しをされることをお勧めいたします。